Little me

本、映画、ドラマ。感じたことをそのままに。

傷ついた女心に共感する -"PS, I Love You" by Cecelia Ahern/「P.S.アイラヴユー」

同タイトルの映画を見たことがあるので、想像しながら読めるだろうと思い原書を読んでみた。本筋以外は映画と違うようで、しかも映画のことはまるっきり忘れていたが、とても読みやすい小説だった。

PS, I Love You

PS, I Love You

 

最愛の夫ジェリーを亡くし、絶望に打ちひしがれる妻・ホリーのもとに、ある日ジェリーからのメッセージが届く。それから次々と様々な方法でホリーのもとに届けられる“消印のない”手紙。最愛の夫を失った悲しみと、最愛の人に出会えた幸せをかみしめながら、友情、そして家族の愛に支えられ、ホリーは徐々に生きる力を取り戻していく……。(Amazon商品紹介より)

死を扱ってはいるがタイプ的にはライトノベルと言える。主人公ホリーが元気を取り戻していく過程はちょっと無理があった。特に仕事を得たり失ったりする場面で軽さが目立つ。賛否両論、好き嫌いが分かれる作品だろう。

それでも、総じてこの本は悪くはなかったなあと思う。なぜだろう。

それは、深く傷ついたホリーが取る行動や気持ちの移ろいに、女同士ならではの「わかる、わかる」が詰まっているからだ。残り香のある彼の服を着てしまう。わかる、わかる。声を聞きたくて携帯の契約を残し、留守電に何度もかけてしまう。わかる、わかる。「時間が解決するよ」という言葉に、逆に傷ついてしまう。わかる、わかる。

慰めてくれていた親友たちが結婚や妊娠で人生のコマを進めることに、どうしても気持ちがついていけない。自分もお祝いしてもらったのだから、親友なのだから、笑顔で祝福して楽しんであげないと。そう分かってはいても、自分の殻にこもって「まだ喜べる状態ではない」と言ってしまうあたり、自分にも心当たりがあって辛かった。

そして、ジェリーの幻影と会話してしまうシーンは胸がきゅーっとしめつけられた。洗面台で顔をあげたら、鏡の向こうに彼がいるのだ。"Miss me?"と笑顔で聞いてくる。アメリカドラマ”アリーmy Love”でも似たシーンがあったのを思い出した。死んだ幼なじみがお店のショーウィンドウやオフィスにふいに現れ、語りかける。"Please come back"といっても、相手は寂しそうに"I can't"というだけ。大切な人と突然分かれたら、こんな風にいつも気配を探して声をかけてしまうのだろうか。

底の見えない深い闇にいるかと思ったら光が見えたり、また闇に戻ったり。心は簡単には癒えず、浮き沈みを繰り返すのだ。時にはあえて利己的にふるまうのもいい。時間が解決してくれるとは思いたくないが、時間が必要なのはきっと確かなんだ。