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Little me

本、映画、ドラマ。感じたことをそのままに。

友達以上恋人未満はありえるか -"Once"/「ONCE ダブリンの街角で」

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見たあとにぽっと心が温かくなるアイルランド映画を見た。

ONCE ダブリンの街角で [DVD]

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ある日、ダブリンの街角で、男と女が出会う。男は、穴の空いたギターを抱えたストリートミュージシャン。女は、楽器店でピアノを弾くのを楽しみにしているチェコからの移民。そんな2人を音楽が結びつけた。彼が書いた曲で初めてのセッションに臨み、意気投合する2人。次第に惹かれあうものの、彼らは互いに断ち切れぬ過去のしがらみを抱えていた。もどかしさを胸に秘めたまま、2人の気持ちが揺れ動いていく…。(Amazon商品紹介より)

何といってもこの映画全体に漂う空気感がいい。ドキュメンタリーのような自然な演技とカメラワーク、シンプルで心に残る台詞、静かに人が支えあう街の雰囲気、そして何より二人で紡ぎ出す優しいメロディ。派手さのない、良質な映画に出会えたときは心からぞくぞくする。

最後まで二人はあくまで音楽のパートナーであるという距離感を埋めず、それぞれの人生を歩んでいく、というラブシーンのないラブストーリーというのがこの映画の特徴だ。二人がこれ以上近づくというストーリー展開はありえなかったのだろうか。こうした友達以上恋人未満の存在は実際あるのか。

私はそもそも男女間の友情を信じているが、確かに、自分の弱い部分を見せ共有した異性が単なる友達だったかと聞かれると難しい。仲は良くても、一線を越えることはないという暗黙の了解はある。ただ、お互い恋人ができたり結婚したら、とくに問題はないといいながら、何となく間を取り、あえて連絡を取らなくなる。それは自分自身や相手のパートナーへの配慮であり、つまりは友達以上の何かを持つ相手であることを認めているに等しい。反対に、自分のパートナーにそんな存在の異性がいたとしたらとても寂しい。“元恋人"とか分かりやすい肩書きでないがゆえに、「まだ連絡をとっているの?」「二人で会うの?」と責めることもできない。

おそらく、人生のうちどこかの場面でそんな人に出会うことが皆あるのだろう。恋や愛ではなくとも、お互いを優しく労わり合った人がいたというのはすばらしいことだ。一線を越えてしまうと、続けるか終らせるかの二択になってしまう。そうでない関係であれば、離れてもいつかまた線がつながることもある。そのままでいた方が幸せな相手もいるのだ。